軽貨物の長距離案件とは?スポットとチャーターの違いや単価を紹介
軽自動車を利用し、1台からでも始められる軽貨物の配送サービスである軽貨物。
その軽貨物の案件の中でも長距離案件は報酬がよく、稼ぎやすいと言われています。
しかし、「ルート便」や「宅配便」などの、近距離の配送が多い軽貨物ドライバーにとっては、長距離の案件を受けるのは難しいと考える人もいるでしょう。
また、長距離案件を受けることが出来たとしても、実際にどのくらい稼げるのか、稼げる人で月にどれくらい収入を得ているのかまではわからないという人もいるのではないでしょうか。
さらに、近距離の配送をやめて、長距離案件だけで生活が成り立つのかどうかも気になるところでしょう。
今回は軽貨物の長距離案件についてや、長距離案件を受ける上で知っておきたい「スポット便」と「チャーター便」の違い、それぞれの報酬単価の相場について解説します。
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軽貨物の長距離案件とは
軽貨物の長距離案件とは、大型免許が必要な大型トラックではなく、軽自動車を利用し、東京から大阪などの長距離の配送をする案件を指します。
長距離案件は報酬が高いというメリットがある一方で、いつでも仕事があるわけではなく、突発的な案件がほとんどであるため、継続して仕事を受けにくく、長距離案件のみでは収入が安定しないというデメリットがあります。
また、軽貨物の長距離案件には「スポット便」や「チャーター便」といった種類があり、配送する時間帯も日中や夜間など、その案件によってさまざまです。
軽貨物の長距離案件にも種類があることを覚えておくといいでしょう。
長距離ドライバーとは長距離専門で働く人のこと?
長距離ドライバーとは、一般的に片道300キロ以上ある場所まで荷物を運ぶ仕事を専門とするドライバーのことです。
長距離というと、大型運転免許や中型運転免許を持っている人が、大型トラックで荷物を運ぶイメージが強いかもしれませんが、軽貨物車両でも受けられる長距離案件は存在します。
ただ、軽貨物の長距離案件は緊急を要するものが多く、時間は厳守する必要もある上、数日もかかるような距離を走ることになるため、家族がいる人や家を空けられない人、カーナビを準備して道路状況のチェックをした上で計画を立てることが苦手な人にはなかなか難しいといえるでしょう。
また、配達先が遠方となる案件の中には、長距離案件よりも少し距離の短い、中距離の案件も存在します。
長距離案件と中距離案件の違いは、目的地までの距離の違いです。
中距離案件でドライバーが走る距離は50〜200kmと、片道300km以上走ることになる長距離案件よりも短く、距離によってはその日のうちに帰ることができます。
宅配便やルート便よりも長距離を走る仕事がしたいものの、できれば日帰りできる方が良い場合は、中距離案件を探してみるのもひとつの方法です。
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軽貨物の長距離案件の種類
軽貨物の長距離案件には、「スポット便」と「チャーター便」の2種類があります。
2種類の長距離案件それぞれの特徴や、どの程度の収入に結びつくか、スポット便とチャーター便とでどのような差があるか紹介します。
スポット便
軽貨物のスポット便とは、基本的には定期的に仕事が入るのではなく、不定期に単発で入るものになります。
スポット便は緊急性の高い案件が多く、運ぶ荷物も鮮度や温度が重要な食品や、急ぎの建築資材などさまざまで、空港で荷物を受け取ってそのまま指定された配達先に届けるような依頼もあります。
依頼主や配達先は案件によって異なるため、300キロを超える距離を走る仕事になることも多々あります。
また、大型トラックが入っていけないような配送先を指定される場合や、繁忙期で人手が足りないときの手段として利用されることも珍しくありません。
定期的に決まった企業へ配達するルート便に比べると、報酬が高く設定されていることが多いですが、不定期でしか案件が入らないため、スポット便だけで収入を安定させることは難しいでしょう。
そのため、多くのドライバーがルート便やスポット便、チャーター便といった複数の仕事を組み合わせて働いています。
チャーター便
軽貨物のチャーター便とは、荷主が車両をチャーターして(貸し切って)荷物を届ける案件です。
車両を貸し切っているため、宅配便の仕事のように荷主の異なる荷物をいくつも積んで届けていくのではなく、配送を依頼した荷主から受け取った荷物のみを積み込みます。
そのため、ほかの荷主の荷物が同じ車両に積まれることはありません。
チャーター便で運ぶ荷物には、高額なものや取り扱いに注意が必要なものが多く、報酬はチャーターの時間や目的地までの距離で決まることがほとんどです。
また、チャーター便は緊急性が高いケースが多く、目的地までも長距離になることが多いことから、その分報酬も高めに設定される傾向にあります。
荷受け先は法人であることがほとんどのため不在率が非常に低く、再配達の手間がいらないことや、あらかじめ指定された時間までに計画を立てて配送を行うため、比較的取り組みやすい仕事といえるでしょう。
ただ、荷主の指定によっては早朝や深夜などに目的地に荷物を運ぶ必要があることや、取り扱いに注意が必要な荷物を運ぶ場合があること、指定の日時はルートを変えても厳守することなど責任を伴う面も大きいといえます。
参考:スポット便とチャーター便の違いは?
スポット便とチャーター便がどう違うかというと、荷物を配達し終わったあとの流れに違いがあります。
スポット便は荷物の配達が完了すればその場で仕事は終了となります。
しかし、チャーター便は決まった日時に車両を貸し切るため、依頼主は時間内であれば何度でも荷物の配達を依頼することが可能です。
軽貨物の長距離案件のメリット・デメリット
軽貨物の長距離案件には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、軽貨物で長距離案件を請け負うメリットとデメリットについて解説します。
メリット
軽貨物の長距離案件を請け負うメリットは以下のとおりです。
- 高報酬が狙える
- さまざまな場所に仕事で行けるため、毎回新鮮な気持ちで取り組める
- 荷受け先が不在の可能性が非常に低い
それぞれ解説します。
高報酬が狙える
軽貨物の長距離案件は、緊急性の高さや配送距離の長さから、報酬の単価が高い傾向にあります。
そのため、一度の配達で数万円の報酬がもらえることも珍しくありません。
長距離案件だけで生計を立てていくには工夫が必要ですが、コンスタントに案件が受注できるようになれば収入を大きく増やすことも可能でしょう。
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さまざまな場所に仕事で行けるため、毎回新鮮な気持ちで取り組める
長距離案件の場合、宅配便やルート便のように毎日同じエリアや企業に荷物を配達して回るわけではありません。
長時間の運転が苦手な人や運転中に眠くなりやすい人にはつらい仕事になるかもしれませんが、長距離の運転が好きな人やさまざまな場所に行きたい人、毎日違う景色を車窓から見ながら仕事をしたい人には、まさにうってつけの仕事といえるでしょう。
荷受け先が不在の可能性が非常に低い
長距離案件は緊急を要する案件が多く、配達先は荷主からの荷物が届くことを心待ちにしている状態です。
また、ほとんどの場合配達先は企業であり、配達時に従業員が全員出払っていて不在という状況は通常ありません。
そのため、宅配便のように不在配達に振り回されるケースはほとんどなく、再配達の問題も発生しません。
もちろん、荷主から指定された時間に間に合うよう交通状況に気を配り、ときにはルートを変えたりする必要はありますが、時間どおりに荷物を届けられれば仕事は完了します。
デメリット
一方、軽貨物の長距離案件を請け負うデメリットは以下のとおりです。
- いつ案件が出るかわからず収入が安定しにくい
- ガソリン代や車両の整備費など、自己負担の経費がかかる
- 長距離を運転する分、拘束時間が長い
それぞれ解説します。
いつ案件が出るかわからず収入が安定しにくい
スポット便、チャーター便ともに、ほとんどの案件は単発での依頼であるため、いくら報酬単価が高いとはいえ、長距離案件で安定した生活をしていくことは困難です。
さらに、荷主から指定された時間に配達できなかった場合、罰金が発生したり、荷主や荷受け先からの急なキャンセルで収入が減少したりといった不測の事態もあり得るため、予想していたよりも安定して高い収入にはならない可能性があります。
依頼主からの案件がいつ出るのか、常にアンテナを張っておき、長距離案件が出たら積極的に受注しつつ、合間にフードデリバリーやギグワークで働くなど、仕事そのものが途切れないようにする工夫が必要でしょう。
ガソリン代や車両の整備費など、自己負担の経費がかかる
長距離案件では、片道300キロ以上の道のりを走行しなければならない事が多いといえます。。
高単価の案件が多いとは言うものの、ガソリン代や車両の整備費は自己負担であるため、長距離案件を頻繁にこなすには、多額のガソリン代や整備費を支払う覚悟が必要でしょう。
また、道路状況によっては高速道路を利用する必要がありますが、高速代を出してもらえる案件はあまりなく、基本的には自己負担です。
そのため、長距離案件というところだけを見て、自己負担の経費面についてよく考えずに案件を受注するのはおすすめできません。
荷主から提示された報酬の金額だけで判断せず、受注した場合、経費を差し引くとどの程度利益があるのか、よく計算したうえで受注を決める必要があります。
長距離を運転する分、拘束時間が長い
長距離案件の場合、配達先が遠方であればあるほど運転時間が長くなるため、拘束時間が長くなることは避けられません。
目的地についてからの、荷物の積み下ろし時の待機時間も含めると、長い時間拘束されることになります。
もちろん定期的に休憩はとれますが、駐車場などに車を止めて車内でとらなければならない場合も多いため、人によっては疲れやストレスがたまる可能性があります。
軽貨物の長距離案件の報酬単価はどのくらい?
では、軽貨物の長距離案件はどのくらいの報酬単価が一般的なのでしょうか。
ここではスポット便、チャーター便それぞれの報酬単価の相場や、一般的な報酬体系について解説します。
スポット便
スポット便の報酬は、宅配便のように荷物の配達個数で報酬が決まるのではなく、時給制であることが一般的です。
時給の相場は2,200〜2,7500円程度で、4〜5時間稼働すれば11,000円程度の収入になります。
4~5時間の案件を1日に複数件受注できれば、1日で22,000円以上の報酬を受けることが可能です。
1日に複数件のスポット案件が取れなくても、残りの半日でルート便などの軽貨物案件をこなせば安定した収入を得られるでしょう。
スポット便は繁忙期に出ることの多い仕事でもあり、毎日案件が取れるとはかぎりませんが、半日スポット便の案件をこなしたあと、ほかの軽貨物案件で5,500円程度の収入を毎日得られれば、月20日の稼働で月収330,000円を得ることが出来ます。
※価格はすべて税込み価格です。
チャーター便
チャーター便の報酬は、スポット便のように時給制ではなく走行する距離によって異なります。
報酬単価の相場は以下のとおりです。
- 20kmまで:5,500円
- 20km〜50km:1kmにつき追加料金220円
- 51km〜100km:1kmにつき追加料金165円
例えば配達先が片道100kmの距離にある場合、上記の相場からいくと報酬は20,000円程度になります。
ただ配達先までの距離が長距離になるにつれて、追加料金が割安になっていく傾向にあるため、距離が長ければ長いほど稼げるかといわれると実はそうではありません。
配達先まで長くても日帰りできる程度の、中距離の案件を1日にいくつかこなすほうが、結果的には収入も多くなるでしょう。
チャーター便が高収入につながるポイントは、帰りにも荷主から配達を依頼される場合がある点です。
帰りも配送を受注すればその分報酬が増えるため、何も乗せずにただ帰るだけの場合とは異なり無駄がありません。
※価格はすべて税込み価格です。
軽貨物の長距離案件の探し方
さて、実際に軽貨物の長距離案件を探すにはどうすればよいでしょうか。
ここでは、軽貨物の長距離案件の探し方について解説します。
マッチングサービスを利用する
まずは、気軽にスマホで利用できる、軽貨物マッチングアプリなどのサービスを利用してみるのがおすすめです。
依頼を受注した際に手数料が発生する仕組みになっており、登録や利用自体に料金はかからないため、とりあえず登録しておくだけでもよいでしょう。
軽貨物マッチングサービスにはアプリやサイトごとにそれぞれ特徴があり、中にはスポット便やチャーター便メインのマッチングサービスもあります。
赤帽に加入する
赤帽は、軽貨物運送業の個人事業主が集まる協同組合のことで、スポット便やチャーター便の案件を多く取り扱っています。
赤帽は、運送会社に所属するのとは違い、個人事業主として赤帽の組合に加入する仕組みになっています。
たくさんの個人事業主が集まっているのが赤帽の組織のかたちですが、古くから信頼されている赤帽ブランドを利用できるため荷主からの信頼感もあつく、組合に所属するため仕事の斡旋も受けられます。
また、しっかりとした研修が受けられるため、軽貨物運送業が未経験の状態から始める場合も安心です。
赤帽は、加入する際に加入金や出資金、書類作成料などの手数料がかかる上に、車両の持ち込みができないため、新たに車両を購入する必要があることから、まとまった資金が必要になります。
また、仕事の斡旋を受けられるといっても、それだけで生活をしていくのは難しいなど、注意すべき点はありますが、得られるメリットもたくさんあります。
開業時の初期費用が十分に準備でき、長期的に赤帽としてやっていく強い気持ちがある場合は検討してみてもよいかもしれません。
軽貨物専門の求人サイトを利用する
軽貨物の長距離案件を探すには、軽貨物専用の求人サイトを利用するのもひとつの方法です。
幅広い求人を扱う一般的な求人サイトにも軽貨物の案件はありますが、軽貨物専用の求人サイトを利用することで、より多くのさまざまな案件に触れられるため、自分の理想に近いものを見つけられるでしょう。
ただ、中には悪質な企業や案件も存在するため、その案件が良い案件かどうかを見極めること力が必要です。
【10選】ドライバー採用に特化した求人サイトまとめ|2023年最新
軽貨物ドライバーの平均年収はいくら?稼ぐために収入を上げる方法や仕事内容を解説
軽貨物ドライバーが長距離案件で稼ぐために
軽貨物ドライバーとして長距離の案件を効率良くこなし、収益を最大化するには、戦略的なアプローチが必要です。長距離の配送は、短距離の案件と比較して時間と労力がより要求されるため、計画的に仕事を選び、効率的に行動することが重要です。以下では、長距離案件で稼ぐための具体的な方法をいくつか紹介します。
配送方法を1つに絞らない
長距離案件を効率良くこなすためには、配送方法を柔軟に考えることが重要です。例えば、往路だけでなく復路の荷物も積むことで、無駄なく収益を上げることができます。また、複数の小さな荷物を組み合わせて一度に運ぶ「混載」も効果的です。このように、一つの配送方法に固執せず、状況に応じて最適な方法を選択することが収入増につながります。
スキマ時間を有効活用する
長距離の配送では、移動時間が長くなりがちです。この移動時間を有効に活用することで、より多くの仕事をこなし、収入を増やすことが可能です。例えば、配送先近くでの小規模な仕事を請け負う、または次の配送先への移動中に新たな仕事を探すなど、スキマ時間を最大限に利用することが重要です。
経費をきちんと計算する
長距離の配送では、燃料費や高速道路料金などの経費がかさみがちです。これらの経費を正確に計算し、収入とのバランスを考えることが大切です。経費が収入を上回らないように、効率的なルート選定や燃費の良い運転方法を心がけることが収益性を高める鍵となります。
配送の距離を確認する
長距離案件を選ぶ際には、配送の距離を正確に確認し、それに見合った報酬が得られるかどうかを検討することが重要です。距離が長ければ長いほど、時間と労力が必要になるため、その分、報酬が高く設定されているかを確認しましょう。また、長距離の配送は体力的な負担も大きいため、自身の健康状態や体力を考慮した上で仕事を選ぶことも大切です。
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関西大学法学部法学政治学科を2015年3月卒業し、大手金融に新卒として入社。
その後ベンチャー企業での部門責任者やIT企業でのカスタマーサクセスを経て国家資格キャリアコンサルタントを取得し現在はNexilでキャリアアドバイザーを務める。
資格